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2009年11月08日

家系図作成術

今日は信長と関係ありません。


歴史が好きな人なら、戦国大名の系図などをご覧になる機会も多いかと思いますが、自分の家系図を作ってみたいと思ったこともあるのではないでしょうか。

そんな希望をかなえてくれる本を発見。

戸籍を読み解いて家系図をつくろう

戸籍を読み解いて家系図をつくろう

  • 作者: 清水 潔
  • 出版社/メーカー: 日本法令
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 単行本




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この本はその名の通り、戸籍を読み解いて、家系図を作成する技術を紹介しています。

ですので、大半の内容が、戸籍の取得の仕方や読み方で、家系図作成については、最後の方で簡単に紹介されているだけです。

相互補完の形で、インターネットのサイト上で細かいアドバイスも無料で行っているようです。
ここ


個人的な話になりますが、私は過去に自分を中心にした家系図を作製したことがあります。

母方の大叔父が亡くなった時、その奥さんに当たる大叔母が、除籍されたりする戸籍を全部取得して私に見せてくれたのがきっかけです。

そのずっと以前に、父方の伯父が父方の御先祖の詳細な年表や、家系図を送ってくださっていたので、それを参考にして作成しました。

また、母方に限って言えば、明治の人員帳と呼ばれるものまで実物であったので、それも参考にしました。


その経験から言うと、明治や大正の戸籍に記載されている情報は、実は、事実とは違うということです。


この本の通り戸籍から家系図を作成するにあたって、系図は間違いなくかけると思います。
しかし、個人情報として結婚した日、生まれた日は、正しくないことが多いものなのです。


例えば、大正初頭生まれの母方の祖父母は、生まれて数か月たっての情報が戸籍に誕生日として記載されています。
結婚も、実際の結婚式の日ではなく、もう少しで初めての子供が生まれるという頃になってやっと婚姻の届がされているようです。


これらの事実は、直接聞かされているからこそ分かる情報であり、戸籍からだけでは知り得ない情報です。

理由は簡単。
届の義務の意識がなかった。
生まれたての子は、数か月で亡くなる可能性が高かった。
今のように病院で出産証明などがされるわけではない。

というのが大きいようです。

名前も、今日まで聞き伝わっているものと、戸籍上の名前は違うことがたびたびです。墓石には、戸籍でなく通称が載っていることも多いのです。

また、現在でも結婚式の日と、婚姻届の日が違うことも多々あります。
(かく言う私もその一人)


本の注意書きにもありますが、知られたくないであろう個人の情報も散見されます。

隠し子がいたり。



私の経験から言うと、

1.家系図を作りたいという気持ちを、親戚に話し、聞き取り調査をする。

2.聞き取った資料を整理し、まず年表と簡易系図を作成。

3.その上で、戸籍を取り寄せ、上記の内容を補完していく。

4.故人のお墓に参り、その他の知り得ない情報を整理する(お墓には意外と情報が書かれたりします。また、管理下さっている方が故人をご存じであったりします)。

という感じでしょうか。


戸籍は、公的な届の記録の集合であり、事実を証明するものではないということを、まず理解したうえで、作成しないと出来た家系図を利用して、先祖の歴史なんかを執筆しようというときに、大きな足かせになります。
前後関係がうまく合わなくなったりしますから。
例えば、すでに結婚して、地元にいないはずなのに、戸籍上では未婚になっていたとします。
その地元で、戦災があったとします。
戸籍には結婚したのは、戦災の後、しかし、事実は戦災の前。となり、歴史を書く時想像で、結婚直前に戦災に遭い大変だっただろう、とかなるわけです。そんな事実はないのに。


ということで、今回は、身近な歴史を調べる作業についての一考察でした。
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2009年10月19日

畿内・近国の戦国合戦 戦争の日本史11


畿内・近国の戦国合戦 (戦争の日本史)

畿内・近国の戦国合戦 (戦争の日本史)

  • 作者: 福島 克彦
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2009/06
  • メディア: 単行本



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読売オンラインで、分かりやすい書評があったので、紹介しておきます。
読売の書評はここ

前回紹介した論文などを読むために、事前の勉強としてこちらを読めば、理解が深まる(というか、これらが分からないと、論文の方はさっぱりわからない)と思います。



戦国期畿内・近国のイメージ プロローグ
1 応仁・文明の乱と山城国一揆
2 分裂と戦争
3 三好長慶の時代
4 合戦の様相
5 防御施設の発達
6 都市と戦争
織田信長の上洛以後 エピローグ


前半は、ざっと(延々と?)信長登場前120年ほどの通史が紹介されていて、はっきり言って飽きます(1〜3章くらい)。

ところが、それが終わって、各所論に入ると、ぐっと中身が出てきて、楽しめます。

4〜最終章までは、最新の論説も紹介されていますし、
何といっても、松永久秀関連について、少ない量で密に紹介されているのが、ありがたいです。

著者は、多聞山城を高く評価されているのですが、いろいろ批判もあるでしょうが、それなりに好感を持てる内容です。


とりあえずは、戦争と政治の話が中心ですので、飽きずに最後まで読むのは大変かも知れません。

それでも、信長や、戦国期に興味があって何となくかじった、という方などが、初めて研究史に触れるときの入門書としては、もってこいかもしれません。

内容に対する元の出典が、史料、論文、著書など逐一明記されているので、買って手元に置いておくのもよいでしょう。

情報も新しいものも多いので、今なら買いです。
とにかく、4章からエピローグまでは必見なので、前半で退屈しても、頑張って最後まで読んで下さいませ。

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2009年10月17日

戦国畿内を知る 最新情報

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雑誌『日本歴史』平成21年9月号に

「信長上洛前夜の畿内情勢」という論文が発表されています。
場部隆弘氏。

あくまでも論文ですので、一般の方には難しいかも。


戦国時代の近畿地方を題材に研究するなら、目を通しておくといいと思います。
新しい発見(というか解釈)として、

九条稙通の孫が、三好義継だという話。

つまり、十河一存の妻が九条稙通という意味。

分からない人にはなんのこっちゃですね。


解説。

信長上洛以前に、畿内を牛耳りつつあった三好長慶。
弟が三人いました。

実休。冬康。そして、十河家に養子に行った一存(かずまさ)。
小説などでは、鬼十河の名で知られる、三好家の重要人物。

この、十河一存の息子が、兄、三好長慶のもとへ養子にいく。
その名前が三好義継。

その義継の母で、十河一存の妻が、九条稙通の娘である。

ということです。

ちなみに、立場上は九条稙通の娘ですが、本当の子供はいなかったとして、
養女だっただろうと、推測されています。

また、和泉守護代松浦孫八郎も、十河一存の子供であったと推測されています。
(つまり、三好義継と松浦孫八郎は兄弟…)

この、十河と九条家、松浦家のかかわりから、
戦国期畿内の信長上洛前夜を考察していこうというのが、この論文の趣旨。


なるほど、と思うところも多かったので、是非本文を読んでみてください。
ちなみに、「永禄九年の畿内和平と信長の上洛」(『史敏』2007春号)とセットで考察されているようなので、
そちらを読むとより理解が深まるようです。
(私は残念ながら読めていません。)


信長上洛前夜の畿内情勢を詳しく知ることは、信長研究でもとても大切なことです。
信長の取った数々の政策にも直接的、間接的と影響を与えたはずです。

そういった意味で、もう一冊よい本があります。また次回紹介します。
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2009年10月01日

織田信長 最後の茶会 感想

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前回の続きです。

きっと、「本能寺の変について書いてるんだ」と思って購入すると、失敗します。
これだけは間違いありません。

特に、本能寺の変を一生懸命やってる人には、おいおい、と言いたくなるかもしれません。

というのは、この本は、全般において、丹念に史料を再検討した結果、新しい発見があったとか、そういう類のものではないからです。
多くの信長関係の書物を読んでみて、著者自身の研究ベースと比較検討して、意見を述べている、というものだと思ってもらえばいいかと思います。
その辺りは、本文中に著者本人も書いておられます。


それなのに、最初に本能寺の変の周辺事情を書いてあるのは、最近の研究動静についてあまり知らない方に対して、基本知識を抑えておいてもらおうという親切心というものかもしれません。

ですので、一般的な歴史研究者が研究結果を書いた、という部類でもありませんし、過去の研究をまとめたものであるとも言えません。
そこは十分注意して読む必要があります。


以下、細かな点で少し気になったところを。

信長の宗教政策の章で、比叡山焼き打ちの紹介の際、松永久秀が東大寺を焼いたことを例に挙げて、旧権威を失墜させる事例として同列に挙げて紹介されています。
しかし、現在、東大寺は戦乱の失火で焼けたという認識がされつつあり、久秀が故意に焼き打ちしたのではないといわれています。信長が家臣に命令して、完全に焼き払って比叡山の人間を皆殺しのようなことをしたのとは大きく違っていると私は考えています。

また、大和の政策では、このブログで何度も述べている通り、信長は宗教勢力に苛烈な行為は行っていない。
比叡山焼き討ちは、権威の失墜を目指して行ったというよりは、軍事的に敵対する勢力を殲滅させたと考える研究も私以外にもあるのですが、その辺りの研究には、著者は何も触れられていないように感じました。


信長論を語るには、この本には史料的裏付けが少ないので、新しい学説には相当し得ないのだけれど、何といっても、ご専門の東アジアの思想や文化を、信長を題材にして紹介するという手法が斬新であるし、新しい知識を沢山手に入れる事が出来るので、そういうつもりで読めば、楽しい読み物とできるでしょう。

是非、氏の他の著書も読んでみたいと思えました。


織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

  • 作者: 小島 毅
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 新書





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2009年09月29日

織田信長 最後の茶会 「本能寺の変」前日に何が起きたか


織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

  • 作者: 小島 毅
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 新書






という題の割に、何も起きていません…
内容と題名がかけ離れていました。これには驚きました。

ただ、いい意味で期待を裏切ってくれました。

冒頭にもありますが、著者は専門分野は東アジア思想文化の研究者で、日本の戦国史の研究者ではありません。
ただ、よほどの愛好家であるようで、中世史全般に知識は豊富に持ち合わせておられます。

巻末の参考文献を見る限り、織田信長研究の書物には一通り触れているといえるでしょう。
ここ数年で私自身も読んだ本が多く並んでいたので、そういう意味でいえば、今まで読んだ著書の再検討にもってこいでした。

逆にいえば、ある程度、巻末にある著書を読んでから、この本を読めばより理解は深まると言えますし、すでに読んだ本を違った角度から見ることができます。



さて、内容の中で興味を持ったものをいくつかあげておきます。

まず、最初にも書きましたが、東アジアの研究者であるので、東アジア圏の中の日本という視点で信長論や戦国史が語られています。
これは、以前から、私自身が常に気になっていたことだったので、非常に興味深く読めました。理解も深まりました。
題名に全く反映されていないので、いい意味で内容に裏切られたわけです。図書館にこの本があったのは本当にラッキーでした。

一言でいえば、信長の「思想」を見つけ出そうという仕事をされています。

良く言われる、信長が西洋志向、近世のパイオニア、時代の先駆者という評価に対するチャレンジ。

特に詳細に記されているのが、「貨幣」「唐物」「暦」についての考察。
これらを、中国・朝鮮や、対馬、琉球などの文化圏と比較して、検討し定説を覆すチャレンジをされています。
今までの信長関係書物とは全く違う角度からの検証ですので、新鮮ですし、新しい知識が身に付きます。
目からウロコの連続です。

また、余談と言うかトリビア的な話題が豊富で、信長研究というよりは、雑学事典という感さえありますが、決して本筋が信長から外れることがないので、無駄にはなりません。


一応、本能寺の変がテーマですので、本能寺の変周辺の過去の研究動向を簡単に最初に紹介されています。
次に、東アジアの経済交流ということで、実のところ、戦国時代、中国や朝鮮と日本はどのように交流していたのかという部分について、非常に分かりやすい説明がなされています。

次の、信長と唐物と題して、中国の思想文化の紹介から始まって、安土城の中国的存在、茶器や室町幕府から統一政権に至る茶の湯の歴史や逸品などを紹介しつていますが、この章ははっきり言っていらないのではないかなと思ったりしますが、とりあえず、信長が中国思考だったという話に持っていくためのプロローグ的なものにされています。後半の重要な信長の思想判断への導入にはなっています。

次に、東アジアの暦と太陽暦太陰暦にうつりますが、これは非常に読み応えがありました。
歴史研究者からしたら、ある意味、当たり前の一般常識が書いてあるのですが、目線を東アジアという角度から見ることによって、醍醐味が出てくるのです。
次の明暦と日本 とセットで、この本のテーマの最大の見せ場になります。
でも、ほとんど信長は関係ない部分ですが。

最後に宗教と信長王権という章に関しては、戦国時代研究者から細かい点で若干の批判があるかもしれません。
しかし、まさに目からウロコという内容のことも書いてあるので、必読の場所ではあります。


ともかく、手軽に読めて、勉強にもなりますので、信長研究の方には是非、一度目を通してもらいたいと思います。

ただし、鵜呑みにしてはいけないところや、いくつかの読み進める上で注意点と疑問点もありますので、そちらは次回紹介いたします。


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著者の一連の作品

義経の東アジア (智慧の海叢書)

義経の東アジア (智慧の海叢書)

  • 作者: 小島 毅
  • 出版社/メーカー: 勉誠出版
  • 発売日: 2005/09
  • メディア: 単行本





足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

  • 作者: 小島 毅
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/02/15
  • メディア: 新書




posted by taigon at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 信長関係書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする