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2008年12月30日

多聞山城四階ヤクラを建てたのは誰だ?

久しぶりに歴史研究的な話をしてみようと思います。

木戸雅寿氏が以前にとあるシンポで発表された資料から私なりに整理してみます。


Wikipediaで、「天守」を調べてみましょう。
ウィキのいいところは、世間のいわゆる「一般」「常識」を知りうる手段となりうるところです。

さて、そこでは「天守の起源」について迫ろうとしてます。

その一つとして、松永久秀による永禄年間築城の「多聞山城(多聞城)」に「四階櫓」があった。ことを紹介しています。

俗に言う、後の安土城以降発展していく、壮大な天守閣をもつ近世城郭の始まりが、多聞山城だという内容の補足資料として捉えられています。


この多聞山城の四階櫓。

以前にも紹介しましたが、多聞院英俊という人が書いた日記「多聞院日記」の天正5年の記事に出てきます。
(ちなみに、多聞院と多聞城は両方「多聞」とありますが、関係ありません…)

その記事の内容とはなんと「破却された」というものです。

ここで、分かるのは、天正5年以前に多聞山城に四階建の櫓建っていたということです。

ところが、この多聞院日記には、残念ながら、松永久秀によって四階櫓が建てられたという記事がありません。
つまり、この日記からではいつ誰が建てたかはわからないといことです。


松永久秀の城に、四階櫓が建っていたのだから、松永久秀が作ったんだろう。と思うのはごもっともです。

しかし、天正5年時点で、この城を保有していたのは、実は織田信長です。

天正元年に信長に反旗を翻した久秀は、同年暮れ、降伏し多聞山城を信長に明け渡しているのです。
(私の論文中にも少し紹介しいています)

そしてそれ以降、松永党は多聞山城に入れていません。
信長から、期限付きで、明智光秀、柴田勝家などが城番として入城し奈良の諸政に干渉しています。
そして、最終的に原田直政が大和守護として入城するのが天正3年春です。


松永久秀が、多聞山城の築城にかかったのが、永禄4(もしくわ3)年のことです。
多聞山城に永禄年間にすでに「塔」が建っていたことを記すのが、宣教師の記事です。

この塔と多聞院日記の四階ヤクラと同じものなのかどうか。。。


さて、何が言いたいのかといいますと、
天正元年以降に入城した織田家の武将による「四階ヤクラ」の普請はなかったのか?という疑問です。

その根拠となる史料が、「多聞院日記」天正3年6月の塙(原田)直政による、多聞山城修築(普請)の記事です。


修築と言いますが、実は記録上多聞山城が攻められたりして戦禍に見舞われたことはないようです。
つまり、直政による修築とは、織田政権下での大和守護の拠点としての拡張工事ではなかったかということです。

その後、天正4年春にも、直政が多聞山城を巡検するという記事があります。
さらにこの直後、多聞山城にとって、運命が急展開する事件が起きます。

大和守護原田直政の戦死です。
これが、天正4年5月3日。信長は早くも5月10日に筒井順慶に大和国を任せる旨を伝えます。
この後、原田一族はなぜか、信長にみな捕えられてしまいます。

大和の政策は次々に発せられ、7月5日から村井貞勝に命じて多聞山城の取毀がはじまるのです。

しかし、四階櫓が破却されたのは、一年近くも過ぎた翌天正5年6月5日でした。


これが簡単な多聞山城四階櫓の歴史です。表題の意味についてご理解いただけましたでしょうか?


次回に、私なりもう少し突っ込んだ検証をしてみたいと思います。


一応、今年の記事はこれで終りの予定です。
今年も一年ありがとうございました。また、来年からもよろしくお願いいたします。


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2008年12月27日

緊急速報!必見 ディアゴスティーニ『週刊安土城をつくる』発売日決定!

『週刊安土城をつくる

復元監修:広島大学大学院教授 工学博士 三浦正幸

信長ファンの皆様。緊急報告です。
まだ、発表されたばかりの新情報。

あの、ディアゴスティーニシリーズから『週刊安土城をつくる』が発売されます。
09年1月27日 ちょうど一ヵ月後です。



1490円で、全110号の予定。
最終的に16万円以上です。

さあ、どうしましょう…



このブログは、秋に再開して以来、週の前半に一回投稿するのを目標にやってきましたが、今週は、緊急速報が多いのでここで投稿です。


ところで、ちょうど昨日読み終えた、『よみがえる真説安土城―徹底復元◆覇王信長の幻の城 (歴史群像シリーズ・デラックス (2))』の監修者も、三浦正幸氏です。

また、改めてちゃんとレビューしますが、私自身、この手のもので、一言一句詠み漏らさずに隅から隅まで読んだのは初めてです。

読みやすく、理解しやすく、飽きず、そして、現地へ行ってみたくなりました。

DEAGOSTINIディアゴスティーニといえば、『週刊ビジュアル日本の歴史』を全巻持っています(父が購読してたのをもらった…)
沢山の資料画像が載っているので、見ているだけでも楽しめます。

この、『週刊安土城をつくる』では、安土城のことだけでなく、織田信長の生涯、日本の城の建築や、現存城郭のみどころなど、飽きさせない内容のようで、安土城を製作するだけでも楽しめそうですが、ブック自体の内容も充実しているようです。


さて、来年、丑年の日本は、安土城で盛り上がる予感がしてきました。

『火天の城』『週刊安土城を作る』

絶対に目が離せません。





それにしても、およそ60センチ四方の箱くらいの大きさになる予定ですねえ。

完成するまで(完成してからも)置き場に困りますね…

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2008年12月21日

映画『火天の城』のセットが見れる

織田信長の夢の跡「安土城」

2009年秋公開予定の映画『火天の城(かてんのしろ)』西田敏行主演、田中光敏監督

で、安土城が築城されていく過程を描いているようです!

大注目ですね〜

副題は、信長の夢をかなえた男がいた―


まさに、今の城ブームに乗っかりつつ、芸術作品としても目指しているっぽいのが、興味をそそられます。

ちょっと前の映画ニュースでも扱われていました。
それがこちら↓
西田敏行、安土城でオスカー狙い?「7割方決めてます!」


ところで、私はあまり映画には詳しくありませんが、今日、偶然映画村さんの営業を受けて、ポスターを頂いた中に、この『火天の城』の宣伝もあって、すぐさま目が釘付けになりました。

その京都太秦映画村では、2009年正月限定で(1/から1/4まで)「東映京都撮影所スタジオ特別大公開」となっています。映画村公式サイトはこちら


西田敏行が演じるのは、大工の棟梁、岡部又右衛門以言(おかべまたえもんもちとき)。

その他、合戦シーンがない、織田信長役には椎名桔平が演じるなど、今までの戦国ドラマとは少し違うものとなりそうです。


ところで、これは余談ですが、現在読んでいる途中で、本当は今週紹介の予定だった本があります。
それがこちら



まさに、タイムリー。来週乞うご期待。


もう一つ、こちらも紹介しておきます。山本 兼一/著 映画の原作です。



まだ読んでいないので、またいずれ紹介したいと思います。



さて、次回から(これは今回の映画の紹介に関係なく以前から決めていたことですが)しばらく、安土城をはじめ城郭研究について考察していくつもりです。
最近は、雑談や著書の紹介ばかりでしたので、久々に真剣に調べてみたいと思います。
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2008年12月16日

『走る悪党、蜂起する土民』

以前紹介の小学館の全集 『日本の歴史』シリーズで二冊目の紹介です。

小学館の全集『日本の歴史7 走る悪党、蜂起する土民』南北朝・室町時代 安田次郎著

なぜか8から7へと戻って行っていますが、これは分かりやすい所から戻って行った方が理解が早まると思ったからです。
今は、さらに5をよんでいます(笑)。

中世大和を研究するなら、最初の段階でこれを読んでおけば、ずいぶんと理解が深まると思います。

著者の書き方が、内容が進みつつ時代が前後することがややあるので、若干戸惑うかもしれませんが、その癖を分かっておけば、すいすいと読めることでしょう。


中世を理解する上で、いきなり佐藤進一とかにとりかかるよりは、よっぽどいいでしょう。挫折しないと思います。


このシリーズは、売りにしている通り、歴代の研究者の蓄積の上に、最新の研究内容も押さえてあるので、参考文献が新しく、今の研究を調べやすくしてあります。


この、シリーズ7南北朝・室町時代も、分かりにくい政治史をなるべくわかりやすく、また、悪党や荘園など、歴史ファンでも敬遠しがちな内容も非常に分かりやすく解説してあるので、ぜひ一度は目を通してもらいたい本です。

著者は大和の研究に造詣が深いので、中世大和の基礎知識や研究課題を知るテキストにももってこいです。

特に158ページからの「変わる荘園」の章は、必読です。
今まで荘園制のことがいくら解説を読んでも理解できなかった人にも、きっとこれを読めばわかるはずです。


かくいう私の織田政権と大和も、中世大和についてはとても勉強不足なところがばれる内容になっているので、これを読んでしっかり勉強しなおしているところです。

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2008年12月08日

デジタル資料の活用法2 Windows SkyDrive

http://taigon-net-rekisi.seesaa.net/article/110190289.html

前回紹介しました、デジタル資料の活用法

最近、つい最近、いわゆるネットストレージで容量が増えて便利になったのが、表題のSkyDrive
これは、Windows Live IDをもっていると利用できるweb上に確保できる無料の保存領域のことです。

何と、25GBもの保存領域を無料で提供しています。

専用のツールをインストールすると、簡単に素早くアップロードもできます。


歴史を勉強したり研究したりしている方なら、遺跡や資料などをデジカメで撮って大量にパソコンに保存しているだろうと思います。
これらの資料をより効率よく、また多用途に使用したりするのに、このSkyDriveは役に立ちます。

特徴としては一度に50MBのファイルをアップロードきます。
また、JPEG画像などは、ダウンロードしなくてもweb上にある時点でプレビューできます。
当然、ネットに繋がる環境であれば、どんなパソコンからでも確認できます。
公開レベルの設定もでき、自分だけが見れるようにしたり、登録した人だけなど、共有することもできます。

25GBもあるので、もしものときのバックアップ用にもできますし、HDDの容量を空けるために、一時的に避難させることも可能でしょう。

画像以外のファイルでも当然保存できますので、いろんな場所で確認したい参考資料などもアップしておけば便利かもしれません。


歴史資料を上手に整理するなどして、活用してみてはいかがでしょうか。

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2008年12月01日

『信長と伊勢・伊賀』

横山 高治著
『信長と伊賀・伊勢』という本を読みました。

勉強になりました。

が、若干情報が古いのと、内容の全体を通して、戦国時代の評価として、すべての戦国大名が天下取りレースをしていたという前提があるので、今どきの研究対象にはむきません。

ただ、自身、奈良県と織田信長の関わりを調べている者にとっては、同じように、三重県の戦国史を信長の評価を交えながら書かれている点に、好感とそれこそほんとに勉強になりました。

題名こそ「信長と」と書いてあるので、織田信長のことかと思いきや、
三重県の戦国史を通史的に書いてあります。

しっかり読み込めば、雑学も身につきます。
私の場合はながし読みだったので、あまり身にはついていませんが。

それでも、松永久秀の娘だの妹だのが、北畠氏に嫁いでいるとか、そんなこと知らなかったです。これは、事実なんでしょうか?常識なんでしょうか?

壱枚御前とか言うそうですが。


それと、お城のことがずいぶん沢山書かれていて、
伊勢鳥羽方面の地理の勉強にもなります。伊賀も。


ただし、最初にも言ったとおり、三重の戦国を学ぶ入口としてはいいかもしれませんが、その後、この本の内容を他で参考として使うためには、もとの資料など出所の裏付けをとっておかないと、歴史認識が古いままになって恥をかく可能性もあります。


しかし、今回の、この本との出会いは決して悪くなかったです。
今後も、こういう地方限定のしかも、県史などでなく、こういう類の本にもっと触れていくことも、知識の幅をひろげることになるなと思いました。

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