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2009年09月29日

織田信長 最後の茶会 「本能寺の変」前日に何が起きたか


織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

織田信長 最後の茶会 (光文社新書)

  • 作者: 小島 毅
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 新書






という題の割に、何も起きていません…
内容と題名がかけ離れていました。これには驚きました。

ただ、いい意味で期待を裏切ってくれました。

冒頭にもありますが、著者は専門分野は東アジア思想文化の研究者で、日本の戦国史の研究者ではありません。
ただ、よほどの愛好家であるようで、中世史全般に知識は豊富に持ち合わせておられます。

巻末の参考文献を見る限り、織田信長研究の書物には一通り触れているといえるでしょう。
ここ数年で私自身も読んだ本が多く並んでいたので、そういう意味でいえば、今まで読んだ著書の再検討にもってこいでした。

逆にいえば、ある程度、巻末にある著書を読んでから、この本を読めばより理解は深まると言えますし、すでに読んだ本を違った角度から見ることができます。



さて、内容の中で興味を持ったものをいくつかあげておきます。

まず、最初にも書きましたが、東アジアの研究者であるので、東アジア圏の中の日本という視点で信長論や戦国史が語られています。
これは、以前から、私自身が常に気になっていたことだったので、非常に興味深く読めました。理解も深まりました。
題名に全く反映されていないので、いい意味で内容に裏切られたわけです。図書館にこの本があったのは本当にラッキーでした。

一言でいえば、信長の「思想」を見つけ出そうという仕事をされています。

良く言われる、信長が西洋志向、近世のパイオニア、時代の先駆者という評価に対するチャレンジ。

特に詳細に記されているのが、「貨幣」「唐物」「暦」についての考察。
これらを、中国・朝鮮や、対馬、琉球などの文化圏と比較して、検討し定説を覆すチャレンジをされています。
今までの信長関係書物とは全く違う角度からの検証ですので、新鮮ですし、新しい知識が身に付きます。
目からウロコの連続です。

また、余談と言うかトリビア的な話題が豊富で、信長研究というよりは、雑学事典という感さえありますが、決して本筋が信長から外れることがないので、無駄にはなりません。


一応、本能寺の変がテーマですので、本能寺の変周辺の過去の研究動向を簡単に最初に紹介されています。
次に、東アジアの経済交流ということで、実のところ、戦国時代、中国や朝鮮と日本はどのように交流していたのかという部分について、非常に分かりやすい説明がなされています。

次の、信長と唐物と題して、中国の思想文化の紹介から始まって、安土城の中国的存在、茶器や室町幕府から統一政権に至る茶の湯の歴史や逸品などを紹介しつていますが、この章ははっきり言っていらないのではないかなと思ったりしますが、とりあえず、信長が中国思考だったという話に持っていくためのプロローグ的なものにされています。後半の重要な信長の思想判断への導入にはなっています。

次に、東アジアの暦と太陽暦太陰暦にうつりますが、これは非常に読み応えがありました。
歴史研究者からしたら、ある意味、当たり前の一般常識が書いてあるのですが、目線を東アジアという角度から見ることによって、醍醐味が出てくるのです。
次の明暦と日本 とセットで、この本のテーマの最大の見せ場になります。
でも、ほとんど信長は関係ない部分ですが。

最後に宗教と信長王権という章に関しては、戦国時代研究者から細かい点で若干の批判があるかもしれません。
しかし、まさに目からウロコという内容のことも書いてあるので、必読の場所ではあります。


ともかく、手軽に読めて、勉強にもなりますので、信長研究の方には是非、一度目を通してもらいたいと思います。

ただし、鵜呑みにしてはいけないところや、いくつかの読み進める上で注意点と疑問点もありますので、そちらは次回紹介いたします。


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posted by taigon at 19:35| Comment(1) | TrackBack(0) | 信長関係書籍紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふーん

Posted by at 2012年07月31日 17:18
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